創作短編・全3話

日曜の朝、冷凍庫から食パンを出した。端っこのほうは思ったより厚かったので、二切れとも焼くことにした。

ボウルに卵を一つ割って、足りなさそうだからもう一つ割った。殻が少し入った。箸で取ろうとしても逃げるので、指でつまんだ。

彼と暮らしていたわけでもないのに、台所には彼のやり方がいくつか残っている。食パンの袋を閉じるときに空気を抜くこと。卵の殻を小さいほうに重ねて捨てること。

フライパンを火にかけてから、コーヒーのお湯を沸かした。





別れた後も元彼を思い出す、日曜の朝ごはん

最初の一切れは裏返すのが早すぎて、角がちぎれた。小さいかけらだけ先に食べたら、ちゃんとおいしかった。

写真を撮った。画面の端に、テーブルの傷と、昨夜洗わなかったスプーンが写っていた。撮り直しかけて、そのまま友達に送った。

「焼いたよ。ちょっと焦げた」

彼なら、焼き色の薄いほうを私のお皿に置いたかもしれない。そう思ったら、もう一度あの人と朝ごはんを食べたい気がした。今度は、そう思ったところでスマホを置いた。

窓を少し開けると、下の階から掃除機の音がした。端っこのパンは、卵がよくしみていた。

コーヒーに砂糖を入れた。いつもより少し多く入ったけれど、今日はそのまま飲んだ。