家から近い会社の求人を、今週だけで三度開いた。仕事はやってみたい。でも給与欄を見ると閉じる。帰りに寄れる店や、夕方まだ明るいうちに家に着くことを想像したあとで、毎月の引き落としを思い出す。
四度目は、閉じる前に給与欄を手帳に写した。今の給料と並べたら、それだけで答えが出ると思った。
給料が下がる転職で、手帳に残した二つの条件
書き出した額の下に、今の生活で減らしたくないものを書いた。友達とごはんに行くお金。ときどき一人で出かけるお金。忙しい日に買うお惣菜まで書いたところで、気にしていたのは金額そのものだけじゃなかったと気づいた。
もう一つ、「平日に何を取り戻したいか」と書いた。ゆっくり夕飯を食べる日が、週に一度でもあるといい。
翌朝、求人を五度目に開いた。応募のボタンは押さず、勤務時間と給与の内訳で確かめたいことを二つ書いた。手帳には、給料の数字の横に、ゆっくり食べたい夕飯のことも残っていた。


