味噌汁をよそっていると、小学校高学年の下の子が言った。

「早く赤ちゃん、来ないかな」

友達の家に赤ちゃんが生まれたのかと思った。どこのうちの子、と聞くと、向かいに座っていた中学生の上の子が、箸を置いて言った。

「うちにだよ」

私はおたまを鍋に戻した。

「うち? 今から?」

二人ともしばらく黙っていた。私が聞き返したことのほうが不思議みたいな顔だった。





弟か妹が来ると思っていた二人

その週末、親戚の家でお茶を飲みながら、その話をした。

「うちの子たち、赤ちゃんが来てほしいんだって。もう二人とも大きいし、私だっていい年なのに。そんなわけないじゃんね」

言い終わる前に、自分で笑ってしまった。あんなに小さかった二人が、もう自分たちで朝起きて、ランドセルや通学かばんを持って出ていく。ようやく朝の支度が楽になったところで、またおむつを買う生活なんて、想像もしなかった。

家に帰ると、玄関に二人の靴が並んでいた。上の子の靴は、いつの間にか私のとほとんど同じ大きさだった。

「今日、あんたたちが赤ちゃん欲しいって言ってた話、したよ」

下の子はテレビを見たまま言った。

「欲しいっていうか、早く来ないかなって言ったの」

「同じじゃないの?」

上の子は返事をしなかった。下の子のぶんの麦茶をついで、テーブルの端からそっと押してやった。