駅のホームに出たところで、面接で聞かれた質問の答えが浮かんだ。「意見の違う人をどうまとめますか」。会議に来られない人に先に資料を見てもらった話をすればよかったのだ。さっきの私は「なるべく丁寧に説明します」としか言えなかった。

帰りの電車でスマホのメモに答えを書いた。書き終えても、もう聞いてくれる人はいなかった。三日後に届いたメールは、思ったより短かった。





面接に落ちて、縁がなかったと思えた日

友達に「うまく話せなかった」と言ったら、「その会社で働くこと自体は、楽しみだった?」と聞かれた。

会社の受付はきれいだったし、求人に書かれた仕事は面白そうだった。ただ、私が「この仕事は誰と進めるんですか」と聞くたび、面接官の答えは「入ってから考えてもらいます」だった。帰る頃には、自分一人で全部を引き受ける姿を想像していた。

「縁がなかった、くらいに思ってもいいんじゃない。準備したことは次にも使えるし」

帰って、ホームで書いたメモを開いた。最後に一行だけ付け足した。「次は、誰と進める仕事なのかを聞く」。答えを用意する欄の隣に、自分が質問する欄も作った。