その親戚に会うのは、十年ぶりだった。

「赤ちゃん、ほんとに来たね」

「ほんとに?」

おめでとう、と言われるつもりでいたので、つい聞き返した。

「前に言ってたじゃない。上の子たちが、赤ちゃん来てほしいって言ってるって。ほんとに来たんだね」

「私、そんなこと言ってた? 覚えてないよ」

「言ってたよ。『そんなわけないじゃん』って、自分で笑ってた」

ずいぶん私らしい言い方だと思った。でも、どこでその話をしたのかも思い出せなかった。





年の離れたきょうだいは、今日も赤ちゃんのそばに

居間から、上の子が小さく笑う声がした。見に行くと、二人とも赤ちゃんのそばにいた。

上の子が手のひらを開くたびに、赤ちゃんが指を握った。真ん中の子はそれを横から見て、赤ちゃんが手を離すと、自分の指を一本差し出した。

「さっきもやってなかった?」

私が聞くと、真ん中の子は赤ちゃんの手を見たまま言った。

「さっきはこっちの指だった」

どの指でも同じように見えたけれど、二人には違うらしい。赤ちゃんがあくびをしただけで顔を見合わせる。親戚が帰ったあとも、二人はそこにいた。

夕飯の支度をしながら、「抱っこ代わろうか」と声をかけた。上の子が口を開くより先に、真ん中の子が「まだいいよ」と言った。

少しして、上の子が「お茶いる?」と聞いた。真ん中の子がうなずくと、上の子は台所へ来て、コップを二つ出した。

麦茶を持って戻ると、さっきと同じところに座った。